経済・文化評論室

エコノミストであり、物語を愛するヲタクでもある。

PS4 UNDERTALE

かなり多くの友人たちが推奨していたので、僕もやってみました。Gルートをようやくクリアしたので感想をメモ。

まともにゲームやったのは久々だったのですが(ノベルゲーは別)、昔の和ゲーっぽい雰囲気にあふれてて、懐かしい気持ちになるゲームですね。世界的にかなり売れてる様ですが、やってみて納得です。ストーリーよし。キャラよし。ゲーム性よし。音楽よし。非の打ち所がない。強いて言えば制作リソースが限られていることから、マップ全体が狭いという印象はありました。しかし、物語をループさせることで、限られたマップを最大限有効活用することに成功しています。

最初に提示されるストーリーは、地下に閉じ込められたモンスターたちの世界に主人公の人間が落下してしまい、脱出するためにラスボスを倒しに行く…というとてもシンプルなものです。しかし、ループを繰り返すにつれ明らかになる真のストーリーは、実際にはかなり重層的です。最初に落ちた人間(いわゆるChara)が物語の根幹にあるというトリックはいいと思いました(小並感)。

あと、Pルートの最後のエモい展開は正直好きです。Nルートで敵対していたモンスターと人間が、共に歩む道があるという展開の時点でエモいですが、何よりエモいと思ったのはアズリエル戦の、彼に取り込まれた友達をふっかつさせていく演出です。彼らの好きなものや思い出を提示していくことで、彼らの人格を取り戻していく…というのは非常に良いです。特に、ゲームを二周プレイする中で、敵対したり仲良くなったりしているので、彼らに凄く感情移入しているんですよね。好きなものや思い出っていうのは、そのキャラへの愛着のコアなので、それを以って彼らを「ふっかつ」させる展開は感情を揺さぶられます。ちなみにこのシーンで個人的に最も涙腺を刺激されたのは、地味に、ふっかつしたアンダインが「でも、いいニンゲンもいるよね!」というシーンでした。当初最も主人公と敵対していたキャラだからですかね。ある種Pルートを象徴している感もあって好きです。つーかこの場面でのHope and Dreamはエモ過ぎて卑怯。

そしてGルートですが、遺跡を抜けて最初にセーブしたときに、赤字で「あと〇体残っている」と表示されたときは本気でビビりました。あと、これまでおもちゃのナイフしかなかったのにこのルートではほんもののナイフが手に入って、説明文に「やっとみつけた」って書いてあるのもグッときましたねぇ。このルートは正直心苦しいですけど、ストーリーの根幹が明らかになりますし、何より個人的には、キャラの別の側面がさらにわかるのも良いと思いました。パピルスめっちゃえぇ奴やんけ…。あとこのルートで印象的なのは、人間めっちゃ強いってことです。まあほかのルートでもそういう風に説明されてますが、人間はモンスターより圧倒的に強い。初見プレイ時にアイテムなしで臨んで殺されまくったマフェットが、こちらが本気で殺そうとすれば秒殺とか、悲しくすらありました。圧倒的暴力でモンスターを殺しまくる様は、何の正当性も無いまさにジェノサイド。だからこそ、全ての責任は主人公の判断、いやプレイヤーの判断に帰されるわけです。

ゲーム自体は単純かと思いきや、しっかりゲーム性もあって楽しめました。戦闘はまさに東方シリーズの様な弾幕除けゲーですが、ボスキャラごとに様々な工夫が凝らされていて飽きません。難易度もよい感じに調整されてます。Gルートのアンダインとサンズには合計100回近く殺されたような気もしますけどね。不殺のRPGであるアンダーテールというゲームをゲームとして成立させるためには、この弾幕除けゲーは必要条件なので、よく考えたなあって印象です。ゲーム性という意味では、隠し要素や小ネタも満載なのが凄いです。条件によるこまごまとした分岐の数も半端じゃないので全部回収するのは不可能でわ、というレベル。

そして何より個人的に印象的なのは、本当に音楽が良い。なんというか、ゲーム音楽としてよい。調べてみたら、開発者のToby Foxはコンポーザーの様ですね。納得。個人的にぱっと思いつく好きな曲を挙げるとしてら、Asgore、Spider Dance、Snodin Town、Undertaleとかですかねぇ。Asgoreはほんとエモい曲です。具体的にはドミレミド・ドーレミシソのリフのシンコペーションのドーが気持ちいいです。なんとなくアズゴア戦で初めてエモい音楽を背景に派手な弾幕を避けるというゲームの楽しさを知ったので、東方が好きな人の気持ちをちょっとわかったような気がします。Spider Danceは、とりあえずマフェットちゃんが可愛いという時点で名曲ですね。個人的にはゲームの劇伴において色んな変奏があるとテンション上がるんですが、これってNapstablookとMad dummyの変奏ですよね。そもそもこの二曲がいい曲なのですが、これらがシャッフルビート入ったおしゃれ系なのに対して、Spider Danceは一番アップテンポでテンション上がるし8bit風の要素も入れてくるので好きです。Snodin Townについては、個人的にはバイオリンのピチカート(piziccato)が使われているRPGのBGMは神曲という法則*1があるのですが、その例にもれずこの曲も良い曲です。これほんとにザ・RPGのBGMって感じで好きです。Undertaleはタイトル曲だけあって、聞くだけで泣ける(どこで流れてたかは忘れた)。ちなみにこれら以外にもいい曲だらけです。

 

とりあえず1500円ぐらいでプレイできるのでやった方が良いと思うゲームです。 

 

以上

*1:ちなみにほかの具体例を挙げろと言われたらマリオRPGのマシュマロ王国のBGMを挙げさせて下さい。マリオRPG神曲だらけでしゅごい。